DTAL(旧RCEAL)留学記録

2010年1月から2014年半ばまで在学していたケンブリッジ大学理論・応用言語学科でPhDを取得するまでの記録です。

博論修正中・電王戦

昨日は朝雪が降っていましたが、イギリスはサマータイムに入りました。時間だけではなく気候的に夏になって欲しいのですが、それにはもう数ヶ月待たないといけないのでしょう。


博論ですが、ドラフトはごく一部を除いて完成し、現在は指導教官のコメントを基に修正しています。割と大幅な加筆が必要な箇所もあり、まだ提出まで時間がかかりそうです。3月末までに提出したいと年始に書きましたが断念しました。早く提出する理由もなくなったので、特に急ぐこともないのかもしれませんが、早く終えて楽になりたいという気持ちはあります。


そんな中ですが、週末は将棋の電王戦を二週間連続でリアルタイムで(=徹夜で)観戦していました。電王戦とはプロ棋士とコンピューター将棋が対局するというもので、今回は3月-4月にかけて5週間連続で、5人のプロ棋士vs5つのコンピューター将棋ソフトという対局が組まれています。現時点で二戦が行われ、プロ棋士チームの1勝1敗です。第二局では現役男性プロ棋士が史上初めてコンピューターソフトに負けたことで話題になっています。2010年の清水女流vsあから2010、昨年の米長永世棋聖vsボンクラーズで共にコンピューター側に軍配が上がってから、ソフトはプロ棋士を超えたのではないかという世論(?)であったと理解しているのですが、それにもかかわらず第一局のプロ棋士の圧勝劇、第二局の熱戦を観るに、(第二局でプロ棋士を破ったソフトである)ponanzaの開発者の山本一成さんではありませんが、プロ棋士はすごいと私は感じています。ツイッター上でどなたかが仰っていましたが、記憶力や計算力という将棋に必要な個々の能力の多くでは人間はコンピューターに遠く及ばないにもかかわらず、トータルで見ると良い勝負ができています。この(現時点では)人間固有の力は面白いですし、その人間に少なくともパフォーマンスレベルでは近づこうとしている将棋ソフトの開発は、大げさに言えば、理研の将棋プロジェクトなどと合わせ、人間固有の能力の解明に繋がるものだと感じます。またそれが、コンピューター将棋が人工知能の一部として位置付けられている理由だと理解しています。電王戦の残り三戦も楽しみです。