DTAL(旧RCEAL)留学記録

2010年1月から2014年半ばまで在学していたケンブリッジ大学理論・応用言語学科でPhDを取得するまでの記録です。

外部審査員

博論は「もう少し」という状態からそれほど進んでいません。指導教官からコメントをもらい、一つ一つの修正はそれほど時間がかからないのですが、如何せん数が多く大変です。ただそれでも遅くとも来月には出せるのでは、という感じになってきました。


そうなると、そろそろ外部審査員を決めなければなりません。ケンブリッジ大学では(英国の大学では?)博士論文は学内から一人、学外から一人の審査員により審査され、それぞれinternal examiner、external examinerと呼ばれます。日本や米国の大学とは違い、指導教官は審査パネルには含まれません。vivaと呼ばれる口述試験では、通常1時間半から2時間程度、審査員二人にみっちりと博士論文の内容について突っ込まれ、その中で自身の論文を弁護しなければなりません。また博士号は論文ではなく人に対して授与されるためか、僅かにですが博士論文以外のことを尋ねられることもあるそうです。ある友人はSLAの博論に対し、「BBCに自身の研究を2分(?)でPRするとしたらどう言うか」と尋ねられたと言っていました。


さて、私の場合、内部審査員はほぼ決まっているのですが、外部審査員はまだ決まっていません。公的には私は審査員の選択には関わらず、博士論文の提出後に指導教官(を通して学科などを通して大学院委員会)が決定・依頼するのですが、実際は指導教官と学生が相談し、指導教官から候補者に非公式に打診を行った後に、公的に大学から依頼する、というのが通常の流れです。この非公式の打診は一般的には博士論文を提出する数ヶ月前に行います(なので私の場合は既に通常のスケジュールと比較して遅いです)。外部審査員は、論文が学位に足るものであるかどうかを判断できる人、というのが絶対条件ですが、その審査ができるだけではなく、今後推薦状などをお願いすることを考え、提出された博士論文を深く且つ高所から理解し、論文提出者を具体的な理由と共に推せる人、というのが望ましい条件です。そうすると、私の場合は学習者コーパスの計量的分析を行っている研究者が望ましいことになるのですが、学習者コーパスの研究者や計量的な言語研究を行っている研究者は国内外に多くいても、その両者を組み合わせた研究を行なっている研究者は意外と見つかりません。米国には数人思い当たる研究者がいるのですが、あいにく学科は米国からの旅費は負担できないので、外部審査員はヨーロッパの研究者限定となります。そういうわけで、外部審査員の選択にやや手間取っています。