DTAL(旧RCEAL)留学記録

2010年1月から2014年半ばまで在学していたケンブリッジ大学理論・応用言語学科でPhDを取得するまでの記録です。

新年度とLondonR

新年度が本格的に始まり、慌しく日々を過ごしています。RCEALには今年度MPhilに14名とPhDに7名を迎え、計34名となりました。ミーティングで配布された資料によるとMPhilの学生の出身国は中国4名、モンテネグロ2名、英国・米国・ニュージーランドセルビアクロアチアハンガリー・台湾・香港が各1名だそうです。中国・台湾・香港でMPhilの半数近くを占めており、随分とアジア人率が高くなりました。これまではPhDを含めても日本人・中国人・ブルネイ人が各1名のみだったので。PhD学生の内訳は英国5名、米国2名、キプロス2名、中国2名、ドイツ2名、オーストラリア・ジャマイカマケドニアポーランドスロバキアブルネイ・日本が各1名と比較的バランスが取れていると思います。


今期私が履修あるいは聴講する予定の授業は

  1. Language Acquisition and Development (MPhil向けの授業)
  2. Assessment of Language Proficiency (同)
  3. Syntax(同)
  4. Computational Corpus Linguistics
  5. Language Learning and Cognition Reading Group

の5つで、そのほかにTuesday Colloquiaとsupervisionが研究科での主要イベントです。


木曜日に早速「Language Acquisition and Development」という授業がありました。講師は二年ほど前にRCEALでPhDを取得された方だそうです。初回に配布された授業計画によると、序盤は社会言語学や言語習得の社会的要因を扱い、中盤に入ると対照分析や誤用分析、形態素習得順序研究にacculturation modelなどが入ってきて、終盤ではESFプロジェクトや用法基盤理論がカバーされるようです。内容をざっと見る限りは、日本で受けてきたSLA教育にこれまでで最も近い授業だと思います。


初日は社会言語学の簡単な概論のみ。言語と方言の差はどこにあるか、という定番のトピックで以下の動画を観賞しました。ドイツ人とシンガポール人が電話越しに英語で話すのですが、シンガポール人の英語(シングリッシュ)が通常の英語と相当に離れていて、なかなか意思疎通ができないという内容です。



上記授業の中で1と3は朝一(9時〜)です。週に二日も朝一から授業が入るのは学部の2年生以来くらいだと思うのですが、2ヶ月程度ですし頑張ろうかと思います。


さて先週は新年度が始まるほかに、LondonRというRの勉強会にも参加してきました。これまでTsukuba.RTokyo.ROsaka.RNagoya.RShiga.Rなどに関するtweet、発表資料、ust等々を指を咥えて見ているだけでしたが、ついに私にもローカルRコミュニティーに参加する機会が巡ってきました。


まず驚いたのが会場です。案内に書いてあった場所に行ってみると、そこはただのパブ。



困惑しながらも中に入ってみると、パブの中にLondonRの案内が!



建物の大分奥の方に会場がありました。



発表会場はこのような感じです。



その手前にはバーカウンターがあります。何でも飲み放題なのに、参加費は無料です。



参加費が無料である理由は、LondonRがデータ分析のコンサル会社であるMango-Solutionsという企業によって運営されており、彼等が費用を負担しているからです。Mango-SolutionsはほかにもRのトレーニングなどを行っているようです。2日間で£1,000など非常に高額ですが。


さてLondonRでは空きっ腹で少し疲れていたのに無料だからと開始前にビールを飲んでしまったため、発表が始まる頃にはほろ酔い気分でした。参加者は35名程度で、平均年齢は40代中盤くらいでしょうか。私のような院生は少なく、企業にお勤めの方やBank of Englandの方などがいらっしゃいました。


肝心の内容は発表題目を見て予め覚悟していたのですが、予想通りほとんど理解できませんでした。具体的には三件発表があり

  • Rcppを用いたRとC++のシームレス化 → C++を知らない
  • Rを用いてGoogle Motion Chartを作成する → Google Motion Chartを知らない
  • TCLTKを用いてGUIを作る → TCLTKを知らない

というわけでお話になりませんでした。そもそも統計処理ソフトとしてのRというよりは、開発環境としてのRなどに興味のある方々が集まっているのかもしれません。


念願叶って・・の割に個人的には益の少ないLondonRでしたが、Rに関する他のイベントの情報交換(ではなく私は受け取るだけですが)も出来ますし、次回(12月)も行ってみようと思います。