DTAL(旧RCEAL)留学記録

2010年1月から2014年半ばまで在学していたケンブリッジ大学理論・応用言語学科でPhDを取得するまでの記録です。

2011-01-01から1年間の記事一覧

2011年

大晦日なので今年がどんな年だったかを考えてみたのですが、2011年は2010年と比べると個人的にはあまり良い年ではありませんでした。特に研究面では(1)2010年後半に行った研究を各所で発表し、(2)多少分析を加え、(3)一本の論文にまとめて投稿(しかし後にre…

留学体験記など

私は日本学生支援機構(JASSO)の奨学金を受給して留学生活を送っていますが、JASSOが発行しているウェブマガジンに留学体験記を書かせて頂きました。以下から無料で読むことができます。 ウェブマガジン「留学交流」2011年12月号 Termが先々週末で終わった…

ITTF Pro Tour Grand Finals

標題の卓球の大会を観戦しに土日にロンドンに行ってきました。以前の反省を活かし、今回は会場の近くで一泊。卓球選手は自国にプロリーグは中国などを除きほとんどないので、基本的に世界を飛び回り転戦します。その主な大会がプロツアーと呼ばれるもので、…

多忙

この一ヶ月は留学してから最も忙しい一ヶ月でした。理由は間違いなく(学部生の)supervisionにあります。毎週(1)講師から出される課題の回答(一人当たり1000語前後×11人)にコメントを入れ、(2)supervisionで議論する内容を考えて準備し、実際のsupervisio…

Reject

夏前に時間を費やして書き、某ジャーナルに投稿していた論文ですが、昨日rejectとの結果を受け取ってしまいました。査読者は三人で、結論がminor revisionという人が二人、同major revisionが一人でしたが、editorはmajor revisionが必要と判断し、rejectと…

Michaelmas 2011

新年度のTermが始まり、一週間が過ぎました。今年度は昨年度までと比較して格段に忙しい日々を送っています。授業など、スケジュールが定まっているものを以下に挙げます。 出席・聴講している授業は以下。 Introduction to Natural Language Processing(月…

構文文法に基づく英文法習得とその文法指導への示唆

本稿はanfieldroadさんの「『英語教育ブログ』みんなで書けば怖くない!」企画の第2回に応えるものです。テーマは「英文法指導」。実際の指導法については多くの方々がお書きになるでしょうから、私はもう少しバックエンド寄りの理論面について書きます。前…

Learner Corpus Research 2011

ベルギーのLouvain-la-Neuveで開催された標題の学会に出席し発表してきました。Louvain-la-Neuveはブリュッセルから1時間弱のところにある田舎町です。なぜそんな田舎でやるのかと言うと、そこにあるUniversite catholique de Louvainには学習者コーパスの第…

Eurosla 2011

昨年のレッジョ・エミリアに続き、ストックホルム大学で行われたEuroslaに出席してきました。Language Learning Round TableやDoctoral Workshop、基調講演を含め計40発表を聞いたのですが、文法形態素やL1転移に関する研究も多くあり、楽しめました。コーパ…

引っ越し

日本から帰英して二日半ほどで少し違うデータをこれまでと同じ方法で分析し、その後五日間ほどで荷造り→引っ越し→荷解き&整理をしていました。これまではCollege(Hughes Hall)の敷地内に居住していたのですが、これからはHughes HallからMill Roadを少し…

一時帰国:2011年夏

三週間ほど一時帰国し、昨夜、22時間かけてケンブリッジに帰着しました。ものすごく大雑把に振り返ります。 KATE→学生飲み 関東甲信越英語教育学会に出席しました。久しぶりに会う人達(特に修士の後輩)が多く、彼等から近況報告を聞けて良かったです。また…

RCEALからDTALへ

暦上は今日(8月1日)から新年度なのですが、本年度よりこれまで所属していた研究科(RCEAL: Research Centre for English and Applied Linguistics)が言語学研究科(Department of Linguistics)と合併し、Department of Theoretical and Applied Linguist…

Corpus Linguistics 2011

バーミンガム大学で開催された標題の学会に出席(&発表)しました。ケンブリッジからバーミンガムへ行くには主に(A)直通バス、(B)直通電車、(C)ロンドン経由の電車、の三種類の方法がありますが、予算を抑えるためにCを選択。ケンブリッジ→キングスクロス→…

UCREL Summer School in Corpus Linguistics

標題のイベントに参加してきました。日程は半日+一日+半日の三日間。コーパスを使った研究をしている(≒コーパス言語学の基礎的な知識はある)博士課程の学生が主な対象者で、参加者は英国内は当然のこと、スペイン・ドイツ・イタリア・フランスなどの近隣…

夏のイベントシーズン到来

昨年も7月から9月にかけてISSA、DH、JASELE、KATE、Eurosla、BAALと色々と学会を回りましたが、今年も夏はイベント続きです。 UCREAL Summar School in Corpus Linguistics (ランカスター大学@英国。7月13日-15日) 明日からランカスター大学で行われるコー…

線形代数に投稿論文に

この二週間ほど線形代数の授業をAcademic Earthというサイトで観ています。統計関連書籍にはよく「線形代数の知識を前提とする」という旨が書かれているため、そのうち勉強してみたいと思っていたのですが、最近はそこそこ時間もあるため勉強するなら今かと…

LaTeXとR

主に去年の後半にデータ抽出や分析を行って今年に入ってから立て続けに発表している研究を一本の論文にまとめ、どこかに投稿してみようという話に大分前からなっていました。RCMが終わって最近は多少は時間があるので、以前に何度か学んで使う機会のなかった…

三度目のRCM

半年に一度の進捗審査であるResearch Committee Meeting (RCM)がありました。名目上は審査であるものの、「ちょっと改まって指導教官陣と話をする機会」程度のもので、基本的に合格・不合格がつくものではないと理解しています。今回も15ページほどの研究計…

手法先行型の研究について

前記事の一部に関連したことを基に某先輩と議論したりして考えたことを。前回同様、結論もまとまりもありません。 コーパス(や統計)は手法であるという捉え方が主流だと思うのですが、そうすると「コーパス言語学者」は手法を専門とする研究者ということに…

統計を活かした第二言語習得研究?

以下は先日のtwitter上での[twitter:@langstat]さんや[twitter:@taku_kaneta]との意見交換(?)に基づいて色々と考えたことです。まとまりなく、結論もありませんが、思考の整理も兼ねてアップします。(追記:こちらにlangstatさんがこの記事の基となったt…

未解決

三週間前に二度目のLent Termが終わり、今月下旬までEaster休みです。卓球やチェスも今年度の活動はほとんど終わり、研究のみに集中できる環境であるはずなのですが、二記事前に「研究停滞」と書いた時からあまり状況は好転していません。やはり手持ちのデー…

Language Acquisition and Language Processing Research Cluster Workshop

東北太平洋沖大地震で被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。こちらでも会う人会う人が日本のことを心配してくださり、日本と何の関係もないのに私と同等かそれ以上に最新の情報を仕入れている人もいます。こちらにいては節電すら協力できずもどか…

研究停滞

この二ヶ月半、特にEP Seminar後はあまり研究関係のことが進んでいません。手元にあるデータでモデルを作ろうとしているのですが、統計的な問題に当たり、行き詰ってしまいました。Statistics Clinicというところに相談に行ったのですが、解決しそうにありま…

私の英語学習歴

本稿はanfieldroadさんの「『英語教育ブログ』みんなで書けば怖くない!企画」 (http://d.hatena.ne.jp/anfieldroad/20110301/p1) の一環です。職業等は問わず、英語教育に関心のある人が同じ日に特定テーマでブログの記事を書こうという趣旨です。anfieldro…

English Profile Seminar 2011

ケンブリッジで標題のイベントがありました。一年に一度開催されている、EP関係者が一堂に会しEP関連のプロジェクトの進捗報告などを行う場所です。プログラムはこちらから。 私もこの一年で行った研究の一部(形態素習得順序における母語の影響)を発表しま…

EMLAR 2011

Empirical Methods in Language Acquisition Research(EMLAR)というオランダのユトレヒトでのイベントに出席してきました。参加者は計60-70名ほどで、言語系のワークショップらしく8-9割が女性でした。知り合いはいないだろうと思っていたのですが、会場で…

Lent Term 2011

二度目のLent Termが始まりました。昨年の1月は刺激多寡の毎日でしたが、今は良くも悪くも落ち着いています。博論は一年前に考えていたよりも随分と伝統的なSLA寄りの研究になっていますが、まあ面白いことができればいい、くらいにユルく考えていましたし今…

一時帰国:2010年12月〜2011年1月

四日前にケンブリッジに帰ってきました。こちらは覚悟していたほど寒くはなく、むしろ東京/大阪よりはだいぶ暖かいと思います。ここ数日は最高気温は10℃、最低気温は5℃をそれぞれ上回っています。もっとも天気は相変わらずで、基本的にはどんよりとした空に…